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テレビがたどる道~その3 [メディア]

このエントリは、6月11日の「テレビがたどる道」
6月12日の「テレビがたどる道 ~その2」
の続編です。
初めてご覧になる方は、ぜひそちらからご覧下さい。

まず、いろいろ誤解があるようですので、もう一度書いておきます。
私は、テレビのマスコミとしての影響力が今後は低下していき、
結果として広告媒体としての魅力も損なわれ、
広告収入の減少によって、産業として衰退していくであろうと思っているのであって、
テレビというメディア自体が無くなると思っているわけではありません。
そこはお間違いないようお願いします。

前回のアップから、かなり時間も空いてしまったので、
今回はもう一度、テレビがなぜなくなるのかをまとめて見たいと思います。

さて、最近のテレビ報道、話にならないですよね。
毎日毎日、はっきり言ってどうでもいい若貴問題で明け暮れてるのに、
JR西日本やJALは本当に大丈夫なのか?
国会の会期延長~郵政改革・外交問題はどうするべきか?といった、
今報道すべきことはお座なりな報道しかしません。

そもそも、テレビが番組に使用できるワクは一日24時間しかありませんから、
報道する内容には優先度をつけなければならないのは自明のことです。
しかし、なぜ「若貴問題」の優先度がこんなに高いのでしょう?

私はこれこそ、テレビが滅び始めている兆候だとおもいます。

単純に言えば、「若貴問題」は、視聴率が稼げます。
だから、こんなにwebで叩かれていても優先度が高いのです。

なぜ視聴率が稼げるかと言えば、
今テレビを主要な情報源としているのは「バカばっかり」で、
「バカ」は、センセーショナリズムの典型例である「若貴問題」を、
好んで見ているからです。

「バカ」は言い過ぎとしても、世の中のことを知ろうとしない、問題意識のない層が、
「若貴問題」の主要な視聴者であることは間違いないでしょう。

今までは、視聴率が取れれば、広告媒体としての価値が高いと考えられていました。
視聴率20%なら、2400万人がその番組(=CM)を見た、と考えられるからです。
今では一歩進んで、個人視聴率なんてものも数字で出ます。
都会に住んでる、一人暮らしのF1(20~34歳の女性)の視聴率、と言うレベルでなら
なんとかわからないこともないですが、それ以上細かいことはわかりません。
(しかも、サンプル数が少なすぎて、データの誤差が大きすぎます)

日本人の生活が比較的均質で、
総中流階級だと言われていた時代はそれでも良かったのでしょうが、
今では日本人の生活も多様化し、さらに貧富の差が拡大しつつあります。

たとえ2400万人に見てもらえていても、その2400万人の大半が、
「バカ」で「貧乏」だったらどうでしょう?
結局いくらCMを見てもらえても、購買能力のない人に見てもらえただけでは、
CMとしての意味がなくなってしまいますよね?

では、購買力のある人に対して影響力のあるメディアは何か、と言えば、
今は何と言ってもwebであり、blogでしょう。
事実上webのスペースは無限大ですから、イエロージャーナリズムから硬派な評論まで、
ほぼどのような論調の記事でも読むことが出来ます。
テレビのように、伝える量に制限はありません。

しかも、見ている人の嗜好がはっきりしやすいのがwebの特徴です。
専門blogなどは特にそうで、例えば料理専門のblogを見ている人は、
料理に興味がある人が大半でしょう。
そこに向けて、新しい調理器具や食材の広告を打てば、
ただ闇雲にテレビCMを流すより、ずっと効果が高いのは当然のことです。

もちろん、キューピー3分クッキングなどの料理番組も同じことですが、
webの場合は、自発的に、積極的にそのページを見ている、と言うことと、
記事の内容に信頼を置いている(=そこにある広告も信頼されることが予想できる)、
そして、24時間すべて広告チャンスになっていて、機会の損失がないのが大きな違いです。

ですから、コモディティ商品(日用品)は微妙ですが、
ある程度趣味嗜好が反映するタイプの商品の広告は、
急激にwebにシフトしていく流れになるでしょう。

広告モデルとしては、雑誌のそれに近いと思いますが、
webは基本的に無料であり、しかも広告手法を限定しません。
文字でも、画像でも、動画でも、音声でも、好きな手法で広告できます。
さらに、インセンティブのある広告手法(例えば、クリックしてくれれば、○○がもらえる)が
容易に取れるのも特徴です。 つまり、口コミまで含めたほぼすべての広告手法を、たった一つのメディアで
しかも安価に実現するのが、webなのです。

民放は、その収入の大半を広告収入に頼っています。
広告がwebに流れていくのは即、自らの経営基盤を揺るがすことになるでしょう。
ではどうすればよいのでしょうか?

ここまで、テレビの広告効果について、否定的な側面のみを取り上げてきましたが、
もちろん駄目な部分ばかりではありません。
web最大の難点は、情報を受け手が積極的に求めないと、何も手に入らないことです
受け身な姿勢でいる視聴者に対してメッセージを伝えるテレビの力は、今でも強力です。

その力をうまく使い、かつ今のテレビに対して嫌悪感をもつ視聴者を取り込む方策を採れば、
おそらく今とはすこし違った形で、テレビは生き延びることが出来るはずです。

その方法は…内緒です。
うまく行くかどうかは別にして、それが私の飯の種なので、
ここに書いてしまうわけには行きません。

少しだけヒント出しておきます。
・webを敵視せず、ビジネスチャンスだと考えること
(すべてのメディアを内包できるwebの特性を生かせば…)
・テレビ自身は、あくまでもリアルタイムにこだわること
・番組流通の方法が今のままでよいのか、もう一度考えること
・豊富な資金力、たくさんの人員を、効率よく使うこと
・テレビを保護してきた法体系を壊すか、自ら抜け出すかすること
・公正中立の幻想を追い求めるのはやめること

こんな簡単なことなのですが、
今のところ、テレビ局の硬直した経営陣にはわかってもらえていません。
若手の人には賛同してもらえることも多いのですが、このままでは変革に20年かかります。
20年後に変革しても、遅すぎるんですけどね。


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