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やっぱり、10年後にはテレビはなくなるでしょう。 [メディア]

テレビには、「○時またぎ」という言葉があります。
例えば、夜7時から9時までの2時間番組では、「8時またぎ」と言って、
7時50分ぐらいから8時15分ぐらいまで、CMを入れないように作ります。
そして可能な限り、番組の山場をここに持ってくるようにします。
これは、8時に始まる他局の番組に、チャンネルを変えられないようにするためで、
視聴率対策のために、ごく普通に行われていることです。

ばかばかしいようですが、経験的に効果のある手法でした。
しかし、もうこんな時代になってしまったのです。
HDDレコーダーによるCMスキップで“損失”540億円

前から言ってきた ことではありますが、
具体的に数字になって出てくると重みが違いますね。

実際に私も、HDDレコーダーを使っています。
放送されている時間に生で見ることは、もうほとんどありませんし、
CMどころか番組本篇も、おもしろそうなところだけ飛ばし見する、「悪い視聴者」です。

テレビは、典型的なプッシュ型のメディアです。
娯楽が少ない時代には、放送時間に合わせてテレビの前に座って、
放送局様が送ってくる番組をありがたく拝見したものですが、
もう視聴者にそんなことを要求できる時代ではないでしょう。

しかし、どうもテレビ局側はそう考えていないようです。
視聴者がリアルタイムで見ていることを想定した番組制作マニュアルがあり、
いまだに、「○時またぎ」だの、「振り返り」
(CM前に放送した内容を、CM後にもう一度見せてひっぱること)だの、
旧態依然のテクニックを使うことが必須になっています。

ちなみに、今の調査システムで視聴率として出てくるのは、
放送時間にリアルタイムで見ていた人の数だけです。
録画されて、後でじっくり見られていても、まったくノーカウントです。
テレビ業界では、「猫が見てても視聴率」、なんてことを言いますが、
小手先のテクニックで稼いだ視聴率でしかCMの効果測定ができないテレビは、
広告主にとってあまり魅力的な広告媒体ではなくなってきているように思えます。

540億円の損失、といっても、これはあくまで広告主にとっての損失です。
くだらないCMを見せられて、日本全国の視聴者が無駄に使う時間がなくなったと考えれば、
視聴者にとっては540億円以上の利益なのかもしれませんよ。

そろそろ、現在の形での「民放」のビジネスモデルは、
限界に達しつつあるような気がしてなりません。
打開策は、ペイパービューなのか、Webとの連動なのか
はたまたWebCast(インターネット放送)なのか…

そうなってしまえば、今の垂れ流ししかできないテレビ局も制作会社も一掃されて、
少しは見るに値する番組が実現できるのでしょうか?

その世界でもゴハンを食べている私が、言ってしまってはいけないのでしょうが…

6月11日 追記
ニセモノの良心 ~NRI、計算間違えてる!?~さんなどが、
野村総研の記事の誤りについて追求しています。

色々あったようですが、私も改めて野村総研の計算を見直してみると、
いろいろ納得がいかない部分がありますので、
540億円は、あまり根拠の無い数字だと思われます、と訂正します。
しかし、金額はともかく、定性的に見た場合に、この試算に意味が無いとは思いませんし、
テレビは将来的に広告メディアとしての価値を失っていくだろう、
という私の予測は変わらないので、本文はそのままにしておきます。

野村総研の試算(=権威ある試算)という思い込みで、
本文をよく読まずにセンセーショナルな金額を自説の補強に使ってしまいました。
批判的精神を失っていたことを、大変恥ずかしく思います。


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